月と東京タワー

日本脳炎は過去の病気なのか-油断できない感染症 後遺症や死亡例も

      2016/03/08

蚊の媒介する病気は多い

デング熱に続いてジカ熱。
蚊の媒介する病気は意外に多いんだなと感じます。

蚊が運んでくる感染症と言えば日本脳炎

この日本脳炎にはワクチンがあり、たいていは子供の頃に接種しているのですが、このワクチンの接種率が低下しています。

今後、再び日本脳炎が流行する危険もあるとのこと。

日本脳炎という病気について、ワクチン接種率低下の経緯について、調べてみました。

日本脳炎

日本脳炎の媒介虫はコガタアカイエカ

蚊です。このウイルスを媒介するのはコガタアカイエカという種類です。

アカイエカとシマカ

愛知県HP

イエカという名の通り、家に侵入してきて人を刺す、あの蚊ですが、日中は屋外の草むらや田畑に身を潜めています。

夜になると活動し始めます。
汗のニオイや人や動物の吐く二酸化炭素に寄ってくる性質がありますが、光にも誘導されます。効率よく民家に入り込めるスキルの持ち主なのです。

ヤブ蚊の一種であるヒトスジシマカは、現在のところ北海道では棲息を確認されていませんが、コガタアカイエカは日本全国にいます

また、この蚊は長時間飛び続けることが可能なため、およそ自然の見当たらないような都市部にもごく普通に現れます。
つまりどこにでも出ます

日本脳炎とは

日本脳炎ウイルスによる感染症です。

コガタアカイエカが豚から人へと感染させますが、ヒトヒト感染はありません。

ウイルスを持っているコガタアカイエカに刺されてもすべての人が症状を発するわけではなく、多くのケースでウイルスが体内に侵入すると同時に抗体が作られ、本人も気付かないまま自然に直っています。

でも、その前にウイルスが脳に入ってしまうことがあり(300人に1人程度)、これが脳炎です。

少なくなってはいますが皆無ではなく、国内で年に数人程度は日本脳炎にかかっています。

日本脳炎の症状

6~16日間の潜伏期を経て、高熱(38度以上)、頭痛、悪心、嘔吐、めまい、腹痛、下痢などの形で発症します。

この後が大変なのです。

項部硬直、筋強直、痙攣、光線過敏、不随意運動、振戦、麻痺、無表情、病的反射、呼吸困難などが意識障害とともに起こります。

項部硬直は、簡単に言うと首の硬直です。

通常、寝ている人の頭をこういった風に持ち上げると、首が前のほうに軽く折れ曲がって顎が胸へ近づきますが、この時、首が固まってまっすぐなままになります。

項部硬直

「ナースフル」より

治療法

決定的な治療法はありません

日本脳炎ウイルスに対する抗ウイルス薬が存在しないので、個々の症状を抑える対症療法を施すしかないです。

後遺症

パーキンソン病様症状や痙攣、歩行障害、精神発達遅滞、精神障害などの後遺症が残ることもあります。(40~75%に後遺症が残るそうです)

特に子供の場合には後遺症が残りやすいと言われています。

死亡率

20~40%です。
子供や年配者は、確率が高くなります。

日本脳炎は、非常に怖い病気です。
特効薬がなく、後遺症のおそれ、死亡のおそれがあるとすれば、やはり予防するしかありません。

日本脳炎にはワクチンがあります。

生涯で4回の接種が必要となるワクチンですが、一般的には、子供の頃に接種を終えています。

予防接種_日本脳炎

ところが、この予防接種の回数が不足している人がいると言うのです。

平成7~18年度に生まれた人がそれに該当します。

なぜ、こうなったのか。
日本脳炎ワクチンの重篤な副反応が疑われたことが原因です。

接種に対する姿勢の変遷を次に見ていきます。

日本脳炎ワクチンの歴史

接種の積極的推奨を差し控えてから再度推奨に戻るまで

平成17年5月に、厚生労働省が「積極的な接種勧奨を差し控える」との方針を打ち出しました。

当時使われていたワクチン接種後にADEM(アデム)の重症例が出たとの報告から、因果関係を完全には否定できなかったことがその理由でした。

ADEMというのは急性散在性脳脊髄炎のことです。神経系の病気で広義の脳炎のひとつです。

当時使われていたのはマウス脳由来のワクチンで、ごく微量ながらマウスの脳組織が残留することがあり、これによってADEMを発症することもありえないとは言えないものでした(可能性は非常に低いと言われていますが)

このため、厚生労働省はこういった措置をとったわけです。

平成21年、アフリカミドリザルの腎臓由来ワクチン(乾燥細胞培養日本脳炎ワクチン)が開発されたため、平成22年から、積極的推奨を行うよう再度方針転換されました。

現在使用されているワクチンはすべて新ワクチンになります。

 

平成7~18年度生まれの人は、これまでの接種回数を確認してください。

上述の経緯から、この期間に生まれた人は接種が不足しているかも知れません。

赤ちゃんの手

接種の履歴は、母子手帳に記録されています。
非推奨期間にあたったことで接種の機会を逃している場合は、定期予防接種として受けることが出来ます。(ほとんどの市町村で無料)

確認のうえ、市町村役場に申し出てください。

また、新ワクチンも副反応がまったくないわけではなく、まれにアナフィラキシー様症状、急性散在性脳脊髄炎(ADEM)、脳症、けいれん、急性血小板減少性紫斑病などの副反応が発現することがあります。
接種後はよく見ていて上げてください。

 

コガタアカイエカの防除

恐ろしい日本脳炎です。

ワクチンがあるとは言え、まだ小さい子供の頃は接種回数も充分でなく、感染の可能性もあります。
(2回の接種で80%の効果があるという治験結果がありますが)

蚊に刺されないような対策は、やはり必要になります。

・家から遠ざける
・対策グッズをうまく使う
・服の色を工夫する

など、蚊対策については、以下の記事に書いておいたのでぜひ参考に。

とにかく!蚊に刺されずに過ごすために(屋外編)
とにかく!蚊に刺されずに過ごすために(屋内編)

 

以上、忘れられている感染症日本脳炎についてまとめました。

現代は、豚と人間の生活する場所が離れていて、ワクチンもあり、日本脳炎の話はほとんど聞かれなくなっていますが、現実に毎年患者さんは出ています。

古い感染症がリバイバルする事例は珍しくありません。

杞憂で済めばそれでよかったというだけのことです。お子さんのいるご家庭では、気をつけて下さい。

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